山口百恵の「All The Yound Girls?」 『乙女座宮』

こんばんは、スタッフの水野です。
 
以前、郷ひろみの『若さのカタルシス』はグラムロックという話をしましたが、昭和歌謡には他にもグラムロックに感じる曲がたくさんあります。
僕がグラムロックよりグラムロックだと思った昭和歌謡に山口百恵の『乙女座宮』という曲があります。
また、この曲は僕の中でアンセム系(このアンセム系とは何かというのは『なごり雪』の記事に書きました)の曲でもあります。
 
『乙女座宮』は山口百恵の21枚目のシングルであり、歌詞の中に様々な星占いに関する星座が登場する名曲です。
 
 
まず、改めてグラムロックとは何か、簡単に説明します。
グラムロックとは1970年代初頭にイギリスに登場したロックのジャンルです。
ロマンチックでちょっとパセティックな雰囲気があり、男が化粧をしたり中性的で派手な服やアクセサリーで着飾ります。ジュリーを想像してもらえば分かりやすいと思います。
 
1960年代、ビートルズやストーンズによりロックという音楽がポップスとしてではなく、一つの独立した音楽になり、様々なバンドやミュージシャンが現れました。
次第にロックは変化していき、ドラッグやマリファナによる幻想的な世界観を持つサイケデリック・ロックや、硬派で骨太で激しいハード・ロックという音楽が生まれ、またそれらからさらに派生していきます。
クラシックのように複雑で難解で、ジャズのインプロヴィゼーション(即興演奏)を取り入れた、大衆性よりも芸術性を重視したプログレッシブ・ロックという音楽が生まれます。
グラムロックは、そういったどんどん掘り下がってゆくロック対するカウンターカルチャーとして生まれた、昔のポップスのようなアイドル的な側面を持ったロックです。
といってもグラムロックが、ハードロックやサイケやプログレを否定した音楽というわけではなく(それら全てを否定した音楽がグラムロックに影響を受けたパンク・ロックになります)、そのグラムロックの代表的なバンドであるT.REXは初期はサイケデリック系でグラムロックとなった後期もハードロック的な音楽をやっていたりしますし、そのT.REXと双璧をなすデヴィッド・ボウイに至ってはグラムロック時代後期からはより芸術的・実験的にになっていきます。
 
 
少々話がグラムロックにより過ぎましたが、この『乙女座宮』はそんなグラムロックな雰囲気がすごくあるのです。
 

 
もうイントロがなった瞬間に、文字通り、音通りのキラキラが溢れ出します。
どこかノスタルジックで切ないギターフレーズが印象的です。
ドラムのタムにやたらと深いリバーブがかかっている感じもクサくて最高です。
夜空の星をイメージしているのだと思うのですが、これがグラムロックのスパンコールやラメでキラキラしているようなイメージと同じなのです。
 
Aメロから山口百恵のボーカルの後ろで合いの手的に入るコーラスが何とも(良い意味で)安っぽく聞こえ「そうそう、コーラスとはこういうことだよ」と唸ってしまいます。
サビの「チュチュチュチュチュ・・・」というどういう顔して録音したんだというようなコーラスが最高です。
またサビ後のCメロの山口百恵の重ねられた歌声が一際美しすぎて鳥肌が立ちます。
特に1番の「かに座と戯れ」の「たわむ~れ~」のところと、最後のその部分全てが美しさの極みだと思います。
2番のAメロに「少女漫画の恋人同士ね、二人の目に星が光る」という歌詞があるのですが、この歌詞がもうこの曲のイメージを象徴しているかのようでとてもロマンチックです。
僕が一番好きな歌詞は最後のCメロの「恋する命のときめきだけが乙女座の祈り」です。
ここは山口百恵の美しい歌声も相成って、ロマンチックでちょっと儚くて、そしてグラムロックです。
 

 
この曲をはじめて聞いたとき、僕はすかさずイギリスのモット・ザ・フープルというグラムロックバンドを思い出しました。
伝説となったT.REX、カリスマとなったデヴィッド・ボウイ、ブライアン・フェリーとブライアン・イーノという二人の天才を輩出したロキシー・ミュージック・・・
モット・ザ・フープルはそれらになれなかったバンドです。
グラムロック系のバンドの多くは、そのアイドルポップス的な音楽性からか、後にも先にもロックファンからはあまり評価されず、ムーブメントが廃るとロックじゃないアイドルだと片付けられてしまい「あの人は今・・・」状態になっていきました。
その中でもモット・ザ・フープルは、デヴィッド・ボウイにプロデュースされたり、そのデヴィッド・ボウイのバンドの名ギタリストであったミック・ロンソンが後に加入したりして話題になったりと、まだマシな方だと思われるバンドです。
デヴィッド・ボウイやT.REXやロキシー・ミュージックは成功しましたが、僕はこのモット・ザ・フープルこそが本当のグラムロックバンドだと思います。
きれいな桜がスグに散ってしまうように、そういったロマンチックさや儚さがグラムロックだと思う僕にとっては、このモット・ザ・フープルが一番グラムロックを感じさせてくれるのです。
 

 
またまた話がグラムロックの方に傾きすぎましたが、この『乙女座宮』はそんなモット・ザ・フープルの曲を彷彿とさせるのです。
時代を感じさせるチョーキングありきのギターフレーズだったり、昔のポップス特有のクサいコーラスだったり、ロマンチックで儚い曲調だったりと、全てがそう聞こえるのです。
 
僕にとって山口百恵の『乙女座宮』は昭和歌謡ではなくグラムロックなのです。
 

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