敬語が妙に似合う野口五郎の『私鉄沿線』

二週連続で30年に一度規模の台風がやってきて、二つ目の台風19号が過ぎ去ってから何だかグッと寒くなった気がします。
寒くなるとその時に聴きたくなる曲も変わりますね。
やはり明るい曲よりも、ちょっと暗い曲が聴きたくなります。
特に秋は(開放的な夏の反動からか)ちょっと寂しげな曲が沁みたりします。
 
今日は野口五郎の私鉄沿線について書こうと思います。

この曲は野口五郎の15枚目のシングルで、『甘い生活』に次ぐ第二のヒット作です。

野口五郎は、郷ひろみ、西城秀樹と共にアイドル新御三家といわれたり、アイドル的な人気がありました。
野口五郎はもともとロック少年で、子どもの頃からギターを弾いていたそうです。
15歳で演歌歌手としてデビューします。
彼は曲を楽譜で渡されてレッスンを受ける際、ギターでは出来るのに、どうして歌では出来ないんだろう、と葛藤があったそうです。
また、自分は歌手としてやっているのにアイドルとして扱われることも疑問に感じていた、というか不思議に思っていたそうです。
というのは、アイドルじゃなくて歌手として扱ってほしい、という意味ではないのです。
彼は、アイドル的に扱ってくれているのは良いとして、こんな演歌調の歌を若い女の子はみんな好きなのかな?という素直な疑問を持っていたそうです。
実際、僕は郷ひろみや西城秀樹の曲はスッと入ってきたけど、野口五郎の良さはよく分かりませんでした。
たしかに、野口五郎の曲を聴くと、郷ひろみや西城秀樹の若者向けポップスとは違い、演歌調ですし、どちらかというと大人向けなムード歌謡的です。
 
野口五郎の曲はドラマチックなものが多いです。
郷ひろみや西城秀樹もドラマチックなのですが何というか「静かなる激情」みたいな感じが最高です。
 

 
『私鉄沿線』ではイントロからしてすごく「静かなる激情」です。
イントロが終わり歌が入る前にちょっと静かになる感じがすごく良いのです。僕が好きな沢田研二の『追憶』でもそうでしたね、この手の歌の入りに弱いのかもしれません。
クサくて、オーバーで、激情なのが最高です。
エモハードコアより激情系です。
 
歌詞がまた切ないです。
聴いた瞬間に情景がすぐに浮かんでくるのはさすがです。
敬語が使われているのも良いです。
僕は基本的に歌詞で敬語を使ったりするのは何だかワザとらしくてあまり好きではなかったのですが、なぜか彼の場合は良いのです。
なんというか、すごく野口五郎らしさが出ていて良いのです。
キラキラしていて(今はギラギラか)いかにもアイドルな郷ひろみ、ワイルドな西城秀樹とは違い、彼は何というか庶民的と言うか、歌番組でもすごい緊張しているのがこっちに伝わってきたり、歌手である前に一人の音楽好きな大人しい青年だという感じがすごくして、この敬語感が妙にマッチしているのです。
 
そういえば前も台風の前後に野口五郎について書いてたのは、何か縁があるのかな。

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